(1945年以降・反省から始まる壮大な社会実験)
1945年。
ヨーロッパは、文字通り燃え尽きていた。
二度の世界大戦。
主にやらかしたのは、ヨーロッパ自身。
瓦礫の山を前に、人々はようやく悟る。
「これ……次やったら終わるな?」
1950年:反省会、ついに開かれる
1950年5月9日。
フランス外相 ロベール・シューマン が静かに宣言する。
「鉄と石炭を、みんなで管理しよう」
武器を作るための資源を、
戦争できない仕組みに変えてしまおう、という逆転の発想だった。
この提案に、
フランス、西ドイツ(首相 コンラート・アデナウアー)、
イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが乗っかる。
1951年、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC) 誕生。
人類史でも珍しい「ケンカ防止目的の組織」である。
1957年:ノリで経済も一緒にする
1957年、ローマ条約。
ECSCメンバーが言い出す。
「経済もまとめた方がよくない?」
こうして ヨーロッパ経済共同体(EEC) が誕生。
モノ・人・サービス・資本が行き来しやすくなり、
かつての敵国は、
いつの間にか「取引先」へと進化した。
1985年〜1995年:国境、ほぼ撤去される
1985年、シェンゲン協定。
1995年、本格実施。
パスポートチェックが消え、
列車で国境を越えても誰も止めない。
中世なら戦争案件。
20世紀末では「ただの通勤」。
人類の成長が一番わかりやすい瞬間だった。
1992年:EU、正式に爆誕
1992年、マーストリヒト条約。
ここでついに名前が決まる。
European Union(EU)
中心人物は、
フランス大統領 フランソワ・ミッテラン、
ドイツ首相 ヘルムート・コール。
かつて何度も戦場で向き合った国同士が、
今度は同じテーブルで法案をにらみ合う。
「撃つよりマシだな」
という人類史的進歩。
1999年〜2002年:財布まで一緒にする暴挙
1999年、ユーロ導入(電子)。
2002年、ユーロ紙幣・硬貨流通開始。
通貨を共有するという、
国家主権ガチ勢が聞いたら卒倒する決断。
結果、
「ドイツの真面目さ」と
「南欧の陽気さ」が
同じ通貨に詰め込まれることになる。
当然、問題は起きる。
でも撃ち合いは起きない。
これが重要。
21世紀:理想と現実のレスバ会場
拡大、危機、財政問題、移民問題、
2016年には イギリス(デービッド・キャメロン首相) が脱退表明。
「仲良しクラブ、やっぱ無理じゃね?」
そう言われながらも、EUは崩れない。
なぜなら、
ヨーロッパは知っている。
分裂の先にあるのは、必ず地獄だと。
結論:EUとは何か
EUとは――
ローマ帝国でも、神聖ローマ帝国でも、ナポレオンでも、ヒトラーでも成し得なかった
「力ではなく反省でまとめるヨーロッパ」。
完全な仲良しではない。
むしろ毎日ケンカしている。
それでも彼らは続ける。
「もう二度と、同じ過ちは繰り返さない」
人類史でも珍しい、
“学習する文明”の実験として。


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