『ヨーロッパ、平和になるまで長すぎた件』小説シーン9:産業革命、便利すぎて世界が変わる

雑記

―1760年ごろ、歯車が文明の主役になった―

■第一章:1760年代、イギリスだけ空気が違う

18世紀後半。

ヨーロッパ大陸ではまだ革命の後処理に追われていた。

•フランス:1789年革命後で大混乱

•神聖ローマ帝国:体制が複雑すぎて身動き取れない

•オーストリア:民族問題が山積み

その一方――

**イギリス(1760年代)**だけは、静かにレベル上げをしていた。

原因はこれである。

「人間の代わりに、機械が働き始めた」

■第二章:発明ラッシュ、止まらない(1764〜1785)

【繊維革命組】

1764年|ジェームズ・ハーグリーヴス

👉 ジェニー紡績機 発明

「一人で8本分働けます」

→ 人類「え、ズルくない?」

1769年|リチャード・アークライト

👉 水力紡績機

→ 工場制手工業の始まり

→ 家内制手工業、無事死亡

1785年|エドマンド・カートライト(牧師)

👉 力織機

「神に仕えつつ、布も量産します」

→ 織物革命、完了

【蒸気革命のラスボス】

1769年 特許|ジェームズ・ワット

👉 改良型蒸気機関

ワットは蒸気機関を見ながら言った。

「これ……水車いらなくない?」

この一言で革命が確定した。

•川沿いじゃなくても工場OK

•24時間稼働OK

•文句言わない

•寝ない

工場主たちは悟った。

「これは文明のチート装備だ」

■第三章:街が“工場生命体”になる(1780〜1800)

マンチェスター、バーミンガム、リーズ。

街は急激に変貌する。

•煙突 → 林立

•空 → 黒い

•川 → だいたい汚い

1780年代〜

農村から都市へ人口が雪崩れ込む。

子どもも働く。

女性も働く。

男性はずっと働く。

誰かが言った。

「便利になったけど……人間、部品扱いじゃない?」

だが歯車は止まらない。

■第四章:移動革命、距離が壊れる(1810〜1830)

【鉄道の覇者】

1814年|ジョージ・スティーブンソン

👉 蒸気機関車 開発

1825年|ストックトン=ダーリントン鉄道

👉 世界初の公共鉄道

1830年|リヴァプール=マンチェスター鉄道

👉 商業鉄道、本格始動

スティーブンソンは馬を見て言った。

「遅くない?」

鉄道は

•物流

•人流

•情報

すべてを高速化した。

イギリスは気づく。

「これ、帝国経営に最適すぎる」

■第五章:イギリス、国力がバグる(1800年代前半)

他国がまだ政治と軍制を整えている間に、

イギリスは量産国家になっていた。

•銃 → 工場で大量生産

•布 → 世界中に輸出

•船 → 蒸気化

•資本 → 銀行と証券で爆回転

1815年|ナポレオン戦争終結(ワーテルロー)

ヨーロッパ諸国:

「やっと戦争終わった……」

イギリス:

「戦争中に工業化終わってます」

完全に一人だけ周回プレイ。

■第六章:光の裏に、影が生まれる(1840年代)

【観察者たち】

1845年|フリードリヒ・エンゲルス

『イギリスにおける労働者階級の状態』

エンゲルスはマンチェスターを歩き、書いた。

「これは進歩だ。

 だが同時に、新しい地獄だ」

その友人――

カール・マルクス(1818–1883) は静かに頷く。

「……この矛盾、理論化できるな」

便利さは、

格差・労働問題・思想革命も同時に生み出していた。

■第七章:世界が理解する「追いつけなければ終わる」

19世紀半ば、各国が悟る。

•ドイツ:工業化を国家主導で加速

•フランス:遅れを必死に取り戻す

•アメリカ:イギリス式を全力コピー

•日本:「これ、西洋ヤバくない?」(→後の明治維新)

産業革命は単なる技術革新ではなかった。

文明のルール変更だった。

■エンディング・ナレーション

王を倒した革命の次に、

人類が向き合うことになったのは――

機械という、新しい支配者だった。

煙の向こうで、

イギリスは静かに世界地図を塗り始める。

「次は……市場と植民地だね?」

こうして歴史は、帝国主義という次の章へ進んでいく。

『ヨーロッパ、平和になるまで長すぎた件』シナリオ集

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